シュトーレンとは、沢山のドライフルーツが入ったドイツのクリスマス菓子ですが、今ではすっかり日本にも定着していますね。
その作り方は様々で、レシピも製法も数限りなく存在していますが、”日持ちする”という観点だけは、どのレシピを見ても同じものを目指していると思われます。
と言うよりも、シュトーレンはそもそもがクリスマス当日に食べるものではなく、クリスマスの数週間前から食べ初めて、クリスマスを迎える準備をするというドイツの伝統に習って作られており、数週間は日持ちする商品として販売しているのが本来のシュトーレンであると言えるのです。
では、このシュトーレンですが、何故日持ちするのでしょうか?
日持ちする商品として作ってはいても、なぜ日持ちするのかを知らずに作っていると言う人・・・・いませんか????
通常のパンは、三日もすれば明らかに老化してきますね。
少しでもしっとり感が長持ちするようにと、様々な工夫をこらしてパンを日持ちさせようとしているベーカリーは少なくないと思います。
なぜなら、日持ちしてくれた方が ”ロス” にならないからであり、計画的に製造してストックしておくという手法も使えますね。
食べる方としても、老化を気にしないですめば、こんなに楽な事はないからです。
商品を日持ちさせる為に、脱酸素剤などを使ったりもしますが、封を切ってしまえばすぐに老化してしまいますので、作る側としてはメリットがあっても、買う側としては一度開けたら早く食べなければならない為に、非常に気を使うということになります。
そう考えると、シュトーレンのように簡易包装でも日持ちする菓子と言うのは、非常に重宝であると思いませんか?
さて本題ですが、どうしてこのシュトーレンは日持ちするのでしょうか?
それは、先人の知恵により、日持ちさせる為の工夫がシュトーレンには沢山生かされているからなのです。
その一つが、ドライフルーツです。
ドライフルーツは、そのままでも日持ちする食材ですよね。
これに洋酒をたっぷり染み込ませることによって、更に日持ちするようになり、数種類のハーブを混ぜる事で、更に更に雑菌の繁殖を抑える働きをしてくれます。
このドライフルーツが対粉で100%以上入るのですから、いつまでもフルーツから生地にアルコールや旨味が放出され、結果老化が非常に遅くなるのです。
次に、焼成後にたっぷりの溶かしバターを塗りますね。
たっぷり塗られたバターは、油脂膜となってシュトーレンの生地の表面を外気からガードしてくれます。
しかし、バターというのは非常に酸化が早いので、バターを塗った後に粉糖をたっぷりかけて砂糖コーティングを施す訳です。
こうしてシュトーレンは、中からはアルコールやフルーツの旨味が放出され、外はバターの油脂膜と砂糖に守られながら、日持ちすると言うよりも、むしろ熟成していくのです。
ですから、シュトーレンは作りたてよりも数週間経過してから食べた方が、濃厚な美味しさになると言う訳なのです。
この原理に似ているのが、ブランデーケーキですね。
当然フルーツケーキなども、フルーツの配合が多ければ多いほど日持ちすることになります。
先人の知恵に感謝しながら、更に更に美味しいシュトーレンを、私達は完成させていかなくてはなりませんね!
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最終更新日 : 2020-01-21