商売をしていて、今日作ったパンはいいところ明日までしか販売できないという現実に悩まされている方も多いと思います。
洋品店がうらやましい (;一_一)
宝石店がうらやましい (;一_一)
だって、今日売らなくても腐ったりしないのですから・・・・
そんな気持ちになってしまう私は、パン屋失格かな??
パンでも弁当でも、すぐに腐ってしまうものだからこそ、毎日毎日買ってもらえる・・・
宝石は腐らないから、めったに同じ人が買う事は無い。
経営的に見れば、そこが日配品と言われるパンの魅力なのは解りますよ!
しかし、本日中に全てを販売するのは不可能なだけに、廃棄と言う何とももったいない事態にもなる訳で・・・・
こんなエコの時代に、はたして廃棄が頻繁に行われているパン屋さんは、正しいのでしょうかね??
てな訳で、パンと言う商材は、基本的には日持ちしない部類の食べ物であると言う事は、皆さんもご存じでしょう。
パン屋さんは、そんなパンを如何に日持ちさせる事ができるか???
そんなテーマを永遠の課題として、日々苦悩していますよね。
では、パンを日持ちさせるために必要な材料とはいったい何でしょう?
それはズバリ、お砂糖 ですね!
一番身近で一番お馴染のお砂糖が、実はパンの日持ちに重要な関係があるのです。
パンを作っていると、色々な原材料を使います。
それらの原材料には、決まって賞味期限というのが存在しますよね。
もちろん、原材料に限らずありとあらゆる食べ物には、賞味期限と言う物があって、2~3日で食べられなくなる物から一カ月位は日持ちする物まで色々あります。
パン屋では、ドライフルーツなどが日持ちする方ですよね!一年位は・・・
レトルト製品も日持ちしますね!やはり一年位ですが・・・・
では、お砂糖はどれくらい持つか知っていますか?
実は、お砂糖は食品であるにもかかわらず、賞味期限がないのです。
と言う事は、腐らない・・・・・のか???
そうです、お砂糖は腐らないのです。(固まったりはしますが)
ちなみに塩はもっと腐らないですけど(笑)
このお砂糖は、パンに配合されるともちろん甘みをつけてくれますが、それだけではなく老化を遅らせてくれるという作用もあるのです。
つまり、砂糖を多く配合した方が、よりパンは日持ちすると言う事になります。
ですから、フランスパンより食パン、食パンより菓子パンの方が日持ちする訳ですね。
すると、つまりは甘いパンの方が甘くないパンより日持ちする・・という原理になります。
どうして???
それにはまず、パンがパサついていく原因を知らなければなりません。
そもそもパンとは小麦粉を加工した食べ物です。
小麦粉を使った食べ物の代表には、例えば
うどん・ラーメン・パスタ・ケーキ・クッキー・そしてパンがあります。
これらはどれも、あまり日持ちがしまいものばかりですよね!
美味しいのに (>_<)
しかし、同じパスタでも ”茹でる前のパスタ” はどうでしょう?
これは驚きの3年以上は持ちますね!
何で????
勘のいい人ならもうお解りですね!
それは水分の含有量が物が腐る事に関係しているからなのです。
茹でなければ3年以上もつ小麦製品でも、水分を含む事によってすぐに腐ってしまう食べ物になる。
これは、食品を腐らせる原因菌である ”腐敗菌 ” が、食品中の水分を腐らせていく菌だからなのです。
つまり、食べ物が腐っていくには、その食べ物の中に腐敗菌が大好きな水がある事が条件となるのです。
したがって、いわゆる乾麺などのように ”乾燥 ” させた食品には、腐敗菌が大好きな水分が少ない為に、腐りずらいと言う訳なのです。
この腐敗菌と言うのは、食品中の水分が30%から60%含まれるものが大好きなのです。
まさにパンやうどんなどは大好物と言う事になりますね。
しかし、そこに砂糖が加わると、その働きにより食品中の水分がデンプンなどと結着して、腐敗菌の大嫌いな結合水という水に変わってしまうのです。
(ちなみに腐敗菌が大好きな水の事を自由水と言います。)
こうなると、腐敗菌は自由に繁殖できなくなり、結果、老化が遅れる訳です。
このような砂糖の力を、最大限に生かしている食品の代表といえば・・・・
ジャム がありますね。
そもそも、例えば苺などは、そのまま生では数日しか持ちません。
しかし、それを砂糖で煮詰めると、数年もつ食品に変わってしまいます。
以上のように、砂糖は一番身近な材料でありながら、パンの日持ちに大きく貢献してくれているのです。
そう理解して砂糖の配合量を考えると、今までよりもレシピに広がりが出来るでしょう。。
ただし、だからといって全てが甘いパンのお店では、お客様が逃げますよ(笑)
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最終更新日 : 2023-07-12