今回ご紹介する食パンの配合は、全般的には一般に良くある配合ではあるのですが、インスタントイーストの無糖用を通常よりも少なめに用いて、その分発酵時間を長めにとる事で、旨味を引き出そうと言う製法のようです。
ミキシングはやや捏ね過ぎの感は確かにありますね。
ただし、今回の生地にコシが付き過ぎる直接の原因は、パンチにあると思います。
イーストを少なめにして発酵時間を多く取ると言う事は、理にかなっていて良いと思うのですが、100%以上ミキシングされた生地を、長時間発酵させるということは、その時点でさらに生地の緩やかなミキシングが進んでいくと言う事になります。
そんな生地を、さらにパンチによって締め付けていくことになるのですから、分割する時点では相当コシが入ってしまっていてもおかしくないはずです。
きめ細かさを目指し、さらに発酵時間を長めにとって旨味を引き出そうとお考えなのでしたら、イーストの発酵ピーク時間をうまくコントロールしなければなりません。
インスタントイーストの無糖用というのは、他のイーストに比べて発酵のピークがかなり遅くなっています。
今回は、丁度そのピークを迎える時間帯にパンチを入れてしまう事によって、コシが入り過ぎてしまう事になっていると考えられます。
ですので、対策としてはパンチは60分後に前倒しし、ピークが訪れる前にパンチを行う事をお勧めしたいと思います。
また、しっかりと捏ねられた生地をパンチする場合は、ソフトに行ってください。
叩き過ぎたり、たたみ過ぎたりすると、生地切れを起こしてしまうからです。
それと、生地は極めて柔らかくする事です。
そうすることによって、よりしっとりとした食パンになりますし、なによりも作業性が向上して、生地切れを起こしにくくなると思います。
そもそも、分割する時点で生地がプリプリしていると思うのですが、それは、上記で説明したように、イーストの動きが一番活発な時点にパンチを行ってしまう事による、コシの付き過ぎが原因なのです。
一度活性が強化したイーストは、その後もどんどん加速してガスを発生させてしまいます。
すると、本来ならベンチタイムで生地が緩む所が、逆に内部摩擦が盛んに起こり、いつまでたっても生地が緩んでこないという状況になってしまうのです。
イーストの過度な活性は、温度に関係がある訳ですから、一度冷蔵庫で生地を休ませるというのも、この場合に限って言えば有効かもしれません。
しかし、一度元気が付きまくってしまったイーストというのは、冷蔵しても、なかなか落ち着いてきてはくれません。
それどころか、表面と内部との温度差が生じてしまい、結果内層の粗い、しかも伸びの悪いパンが完成してしまうと思われます。
あくまで最悪の場合を除いては、一度冷蔵庫へ入れるというのはやめておいた方が良いでしょう。
上記で説明したとおり、パンチを早目に行う事が重要となります。
また、イーストが元気になり過ぎてしまう原因は、何よりも温度に関係があります。
寒い地方でのパン作りにありがちなパターンとして、どうしても捏ね上げ温度を高めにする傾向があるように伺ってはいますが、無糖用インスタントイーストというのは、特に低温域でじっくりと活性するように出来ているイーストですので、捏ね上げ温度が高いと言う事は、その時点で生地のプリプリが決定してしまう事にもなる訳です。
例えどのような環境であれ、捏ね上げ温度を高くしておいて、その後に生地が冷えていく事を想定するという考え方は、不安定さを招く要因であるとお考えください。
どうしても生地を保管する場所の温度を保てない場合もおありだとは思いますが、発泡スチロールやプラスチックなどの温度変化に鈍感な入れ物をうまく活用するなどして、出来るだけ捏ね上げ後の温度変化を与えないような工夫はどうしても必要だと思います。
ホイロで生地が乾燥ぎみになるのは、この段階に至るまでの過程で、すでに過発酵になってしまった事が原因です。
ですので、表面がカサカサにならないように、湿度を上げる気持ちは良く解りますし、正しい判断であると思います。
ただ、こうなってしまった場合は、温度だけは上がらない様に注意して欲しいと思います。
出来る事なら、ホイロのスイッチはオフにして、弱い温度でじっくり膨らませてほしいと思います。
また、その際に生地が乾燥しない様に、蓋をした状態で発酵させてください。
時より蓋をあけて生地の状態を見て、あまりにも乾燥しているようなら、噴霧器で霧を吹いてください。
この時、蓋をしてあるにも関わらず、生地が乾いてくるとしたら、それは極度の過発酵状態にあると言えると思います。
次回からは、捏ね上げ温度をもう少し低めにすると言う事と、パンチを早い段階で、しかもソフトに行う事、更には吸水を出来るだけ増やして柔らかい生地にしておく事などが必要だと思います。

画像から判断できることは、やはりトータル的な過発酵により、色付きの悪いパンになっていると言う点と、下部がでこぼこと盛り上がっている部分がある事や、上部のホワイトラインがしわになっている事などから、イーストが焼成中に力尽きてしまったことを物語っていると言えると思います。
このように、全般的に生地がプリプリとし過ぎていて、終始コシの強い状態で成形された生地というのは、オーブンでも前半は伸びの良い状態になるのですが、最終的にはイーストが失速してしまいます。
これは、例えば山登りをしている時に、前半飛ばし過ぎてしまい、後半で頂上の一歩手前で疲れ果てて断念してしまったような状態であると言えます。
同時に、登っていく際に水分補給をする訳ですが、これも後半に飲む分まで前半に飲んでしまい、後半は水が無い為に大慌て・・・・みたいな状況にあると言えるのです。
つまり、イースト菌の活動には配分が必要だということですね。
せっかく長時間発酵させることを目指して、イーストを減らしている訳ですから、その力を前半に使いきってしまうのような状況を作ってはいけないということです。
時間をかけて発酵させようと考える場合は、ある程度低温の状態から、じっくり時間をかけて温度を上げていくことがポイントとなります。
今回の場合は、捏ね上げ温度を26℃以下に抑えて、しかも柔らかい生地にして、パンチを早い段階でソフトに行うのがベストであるとお考えください。
普通に作業を進めていって、成形を終えた時点での生地の温度が30℃以上だと言う場合は、概ね過発酵であったと考えられます。
この時の温度が、26~28℃であれば、温度の推移としては最良でしょう。
また逆に、捏ね上げ温度は30℃であったのに、同じく成形終了後の温度は24℃だった・・・というような場合もあろうかと思います。
それは、いわゆる室温が低過ぎる場合だと思いますが、そのようにして捏ね上げた時よりも温度が最終的には下がって来てしまうようなパン作りをおこなう場合、そこには現場での経験によって優劣を判断するということ以外にコツを掴む事は不可能になります。
そのようにして、本来ならあり得ないようなパン作りを、たやすくこなしていらっしゃる方は当然おられるでしょう。
それは、知らずのうちに、または試行錯誤の結果なのかもしれませんが、理にかなった事を行っていることによって、最終的には良いパンになる訳です。
終わりよければすべてよし・・・・というのは、確かにそうかもしれませんが、それ自体も、いったいなぜ上手くいくのだろうということを分析しておく事は、その後のパン作りの為にも重要な事であると私は思います。
たまたまうまくいって肩をなでおろす・・・・と言う事ではなく、上手くいくにも、また失敗するのにもすべて原因があるのだということを、どうかお忘れないように・・・
ミキシングはトータルで18分で、高速も4分ほど用います。
しっかりときめの細かい食パンを目指しているからです。
捏ね上げ温度は30℃前後を目標にしておりますが、地域がら気温が低めですのでこのくらいが丁度よいように感じております。
発酵時間は90分で一度パンチをし、その後30分してから分割しております。
その際生地は非常に元気が良い感じになっておりまして、正直丸めづらいようにも感じています。
そもそもがミキシングのかけ過ぎなのでしょうか?
それともパンチの仕方や発酵時間などに原因があってコシが付きすぎているのでしょうか?
しっかりときめの細かい食パンを目指しているからです。
捏ね上げ温度は30℃前後を目標にしておりますが、地域がら気温が低めですのでこのくらいが丁度よいように感じております。
発酵時間は90分で一度パンチをし、その後30分してから分割しております。
その際生地は非常に元気が良い感じになっておりまして、正直丸めづらいようにも感じています。
そもそもがミキシングのかけ過ぎなのでしょうか?
それともパンチの仕方や発酵時間などに原因があってコシが付きすぎているのでしょうか?
ミキシングはやや捏ね過ぎの感は確かにありますね。
ただし、今回の生地にコシが付き過ぎる直接の原因は、パンチにあると思います。
イーストを少なめにして発酵時間を多く取ると言う事は、理にかなっていて良いと思うのですが、100%以上ミキシングされた生地を、長時間発酵させるということは、その時点でさらに生地の緩やかなミキシングが進んでいくと言う事になります。
そんな生地を、さらにパンチによって締め付けていくことになるのですから、分割する時点では相当コシが入ってしまっていてもおかしくないはずです。
きめ細かさを目指し、さらに発酵時間を長めにとって旨味を引き出そうとお考えなのでしたら、イーストの発酵ピーク時間をうまくコントロールしなければなりません。
インスタントイーストの無糖用というのは、他のイーストに比べて発酵のピークがかなり遅くなっています。
今回は、丁度そのピークを迎える時間帯にパンチを入れてしまう事によって、コシが入り過ぎてしまう事になっていると考えられます。
ですので、対策としてはパンチは60分後に前倒しし、ピークが訪れる前にパンチを行う事をお勧めしたいと思います。
また、しっかりと捏ねられた生地をパンチする場合は、ソフトに行ってください。
叩き過ぎたり、たたみ過ぎたりすると、生地切れを起こしてしまうからです。
それと、生地は極めて柔らかくする事です。
そうすることによって、よりしっとりとした食パンになりますし、なによりも作業性が向上して、生地切れを起こしにくくなると思います。
分割後にベンチタイムを20分ほど取るのですが、休ませても生地のブリブリとした感じが残っていて、成形するとどうしても生地が切れぎみになってしまいます。
それを防ぐために分割後の丸目はそっと行うようにしているのですが、それでもベンチタイムで生地がゆるんでくるどころかなおさらプリプリになってきてしまいます。
このような場合は時間を更に置いてでも、ベンチタイムを継続する方が良いのでしょうか?
それとも、一度冷蔵して生地を休ませるという手法があると聞きましたが、そのように対処する方が良いのでしょうか?
それを防ぐために分割後の丸目はそっと行うようにしているのですが、それでもベンチタイムで生地がゆるんでくるどころかなおさらプリプリになってきてしまいます。
このような場合は時間を更に置いてでも、ベンチタイムを継続する方が良いのでしょうか?
それとも、一度冷蔵して生地を休ませるという手法があると聞きましたが、そのように対処する方が良いのでしょうか?
そもそも、分割する時点で生地がプリプリしていると思うのですが、それは、上記で説明したように、イーストの動きが一番活発な時点にパンチを行ってしまう事による、コシの付き過ぎが原因なのです。
一度活性が強化したイーストは、その後もどんどん加速してガスを発生させてしまいます。
すると、本来ならベンチタイムで生地が緩む所が、逆に内部摩擦が盛んに起こり、いつまでたっても生地が緩んでこないという状況になってしまうのです。
イーストの過度な活性は、温度に関係がある訳ですから、一度冷蔵庫で生地を休ませるというのも、この場合に限って言えば有効かもしれません。
しかし、一度元気が付きまくってしまったイーストというのは、冷蔵しても、なかなか落ち着いてきてはくれません。
それどころか、表面と内部との温度差が生じてしまい、結果内層の粗い、しかも伸びの悪いパンが完成してしまうと思われます。
あくまで最悪の場合を除いては、一度冷蔵庫へ入れるというのはやめておいた方が良いでしょう。
上記で説明したとおり、パンチを早目に行う事が重要となります。
また、イーストが元気になり過ぎてしまう原因は、何よりも温度に関係があります。
寒い地方でのパン作りにありがちなパターンとして、どうしても捏ね上げ温度を高めにする傾向があるように伺ってはいますが、無糖用インスタントイーストというのは、特に低温域でじっくりと活性するように出来ているイーストですので、捏ね上げ温度が高いと言う事は、その時点で生地のプリプリが決定してしまう事にもなる訳です。
例えどのような環境であれ、捏ね上げ温度を高くしておいて、その後に生地が冷えていく事を想定するという考え方は、不安定さを招く要因であるとお考えください。
どうしても生地を保管する場所の温度を保てない場合もおありだとは思いますが、発泡スチロールやプラスチックなどの温度変化に鈍感な入れ物をうまく活用するなどして、出来るだけ捏ね上げ後の温度変化を与えないような工夫はどうしても必要だと思います。
オーブンでは非常に伸びのある感じで良いと思っているのですが、なかなか焼き色が付いてこない気がしております。
温度を更に上げて焼くべきなのでしょうか?
また、このようなプリプリとした生地の場合ホイロの温度はどのようにするべきでしょうか?
私は生地が乾燥気味になっていることをふまえて湿度を上げているのですが、もしかしたらそれもいけないのかもしれません。
温度を更に上げて焼くべきなのでしょうか?
また、このようなプリプリとした生地の場合ホイロの温度はどのようにするべきでしょうか?
私は生地が乾燥気味になっていることをふまえて湿度を上げているのですが、もしかしたらそれもいけないのかもしれません。
ホイロで生地が乾燥ぎみになるのは、この段階に至るまでの過程で、すでに過発酵になってしまった事が原因です。
ですので、表面がカサカサにならないように、湿度を上げる気持ちは良く解りますし、正しい判断であると思います。
ただ、こうなってしまった場合は、温度だけは上がらない様に注意して欲しいと思います。
出来る事なら、ホイロのスイッチはオフにして、弱い温度でじっくり膨らませてほしいと思います。
また、その際に生地が乾燥しない様に、蓋をした状態で発酵させてください。
時より蓋をあけて生地の状態を見て、あまりにも乾燥しているようなら、噴霧器で霧を吹いてください。
この時、蓋をしてあるにも関わらず、生地が乾いてくるとしたら、それは極度の過発酵状態にあると言えると思います。
次回からは、捏ね上げ温度をもう少し低めにすると言う事と、パンチを早い段階で、しかもソフトに行う事、更には吸水を出来るだけ増やして柔らかい生地にしておく事などが必要だと思います。

画像から判断できることは、やはりトータル的な過発酵により、色付きの悪いパンになっていると言う点と、下部がでこぼこと盛り上がっている部分がある事や、上部のホワイトラインがしわになっている事などから、イーストが焼成中に力尽きてしまったことを物語っていると言えると思います。
このように、全般的に生地がプリプリとし過ぎていて、終始コシの強い状態で成形された生地というのは、オーブンでも前半は伸びの良い状態になるのですが、最終的にはイーストが失速してしまいます。
これは、例えば山登りをしている時に、前半飛ばし過ぎてしまい、後半で頂上の一歩手前で疲れ果てて断念してしまったような状態であると言えます。
同時に、登っていく際に水分補給をする訳ですが、これも後半に飲む分まで前半に飲んでしまい、後半は水が無い為に大慌て・・・・みたいな状況にあると言えるのです。
つまり、イースト菌の活動には配分が必要だということですね。
せっかく長時間発酵させることを目指して、イーストを減らしている訳ですから、その力を前半に使いきってしまうのような状況を作ってはいけないということです。
時間をかけて発酵させようと考える場合は、ある程度低温の状態から、じっくり時間をかけて温度を上げていくことがポイントとなります。
今回の場合は、捏ね上げ温度を26℃以下に抑えて、しかも柔らかい生地にして、パンチを早い段階でソフトに行うのがベストであるとお考えください。
普通に作業を進めていって、成形を終えた時点での生地の温度が30℃以上だと言う場合は、概ね過発酵であったと考えられます。
この時の温度が、26~28℃であれば、温度の推移としては最良でしょう。
また逆に、捏ね上げ温度は30℃であったのに、同じく成形終了後の温度は24℃だった・・・というような場合もあろうかと思います。
それは、いわゆる室温が低過ぎる場合だと思いますが、そのようにして捏ね上げた時よりも温度が最終的には下がって来てしまうようなパン作りをおこなう場合、そこには現場での経験によって優劣を判断するということ以外にコツを掴む事は不可能になります。
そのようにして、本来ならあり得ないようなパン作りを、たやすくこなしていらっしゃる方は当然おられるでしょう。
それは、知らずのうちに、または試行錯誤の結果なのかもしれませんが、理にかなった事を行っていることによって、最終的には良いパンになる訳です。
終わりよければすべてよし・・・・というのは、確かにそうかもしれませんが、それ自体も、いったいなぜ上手くいくのだろうということを分析しておく事は、その後のパン作りの為にも重要な事であると私は思います。
たまたまうまくいって肩をなでおろす・・・・と言う事ではなく、上手くいくにも、また失敗するのにもすべて原因があるのだということを、どうかお忘れないように・・・
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最終更新日 : 2023-08-07