分割機の場合は、機械で分割する事を想定したパン生地作りを行わないと、不用意に生地を傷めてしまったりする場合がありますので、注意が必要ですし、それなりのレシピと分割の際のコツがありますので、機械分割については、次の回に触れたいと思います。
ここでは、手分割を行う際の注意点について述べたいと思います。
まず、分割する作業台ですが、私の知る限り一番多く使われているのが、ステンレスの作業台です。
ステンレスは、生地を冷やしますので、作業台に触れている面の生地温度が下がります。
したがって、分割に時間がかかる場合、生地温度が下がる事によって生地全体に温度差が生じ、不安定な生地になりやすくなります。
具体的には、焼成後に一部膨らみの悪いパンが焼けたり、焼き色がまばらになったりします。
発酵は、あくまで温度によって変化するものです。 したがって、生地全体の中で、中心部と外側の温度に差が出ると、当然発酵状態にバラツキが生じ、発酵し方も焼け方もバラつくのです。
そのあたりに気を使っているベーカリーでは、作業台の上に布をしいて、そこへ生地を乗せて分割したりします。
それは非常に理にかなっているのですが、なにぶんパン生地というのは、物によってはべたついていたり、濡れていたりしますので、布もすぐに水分と粉によって汚れてしまいます。
ということは、すぐにカビが発生します。
しかし、そのまま使っているパン屋さんも非常に多いのです。
これでは本末転倒なわけで、せっかく生地に良かれと思ってやっているのに、逆に雑菌を配合しているようなものなので、いただけません。
こまめに洗濯をして乾燥させる。 面倒ですが、衛生管理はベーカーの責任であり信用ですよね。
木の作業台を使っているベーカリーもありますが、生地温度を下げないと言う点では木は非常に良いのですが、スケッパーで木が削られて、木屑が入ったりしますし、長く使用していると、部分的に削れてしまい、成形時に成形しづらくなったりしますので、あまり実用的ではないかもしれません。
私がいつでもお奨めしているのは、業務用プラスチックまな板です。
業務用では、様々な大きさと厚みが選択出来ますので、作業台に合わせて注文する事ができます。
薄いと動いてしまったりするので、3センチ程度の厚みがお奨めです。
表面に凹凸のあるものと、つるつるのものがありますが、長い間使用していると、結局どちらもつるつるになりますので、どちらでも構いません。
このまな板は、生地の温度を下げる事も無く、また、適度に吸着性がありますので、丸めや成形時にパン生地がフィットして、丸めも成形も行いやすくなります。
また、吸着性があるのに生地が引っ付きにくい為、手粉をあまり必要としません。
作業終了後に、スケッパでこするだけで綺麗になりますし、チョコレートやココアやシナモンなどを使った生地で、まな板に色が付いても、濡らしたタワシでこすればすぐに綺麗になります。
何より長持ちします。
現在ステンレス作業台を使っている方は、そこにこのまな板を乗せるだけで、格段に作業性が良くなりますよ。 どうぞお試しください。
よく使われているのがこんなタイプ
生地がくっつかないし、掃除がし易いタイプです。

リケン 業務用PC俎板 R-3051 1200×600×30mm
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最終更新日 : 2023-07-12