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2019-06-02 (Sun)  08:09

ホイロをあなどるなかれ・・・

パン作りの基本中の基本であるホイロの管理。

どのくらい膨らんだら焼くべきか、どのくらい膨らませるのが良いのか、ちょうど良いのはどのあたりなのか・・・

パンを焼く・・・その以前に必ずと言ってよいほど必要になってくる最終発酵状態の見極め。

皆様の自信のほどはいかがでしょうか?

パン屋さんの場合、初めてパン作りを経験する従業員がいるとしたら、オーブンを担当させて焼き方を教えたり、成形を教えたり、ミキサーを任せたりしながら徐々に作業に慣れさせていくことになると思うのですが、教える方として一番教えにくい、そして一見簡単なように見えて実は微妙に商品の出来栄えに響いてしまうのがこのホイロの見極めなのではないでしょうか。

ご家庭でのパン作りでも、パン教室でも、実に気を遣うことになるのももしかしたら最終発酵の見極めと言えるかもしれませんよね。

様々な時間の制約や都合によって、たまたま少しだけ早めに焼いてしまった・・・

または、ちょっと油断しただけなのに、いつもよりも大きくなってしまった・・・

そんな時には、間違いなく結果としてそれなりのパンが完成してしまい残念・・・というようなことがしばしばあることでしょう。

時にはタイマーなどを使って時間で管理したり、あるいはあくまで目視で判断したりと、その方法は人それぞれだったり、その時次第であったりするとは思うのですが、すべて完璧にというのは非常に難しいのがホイロですよね。

どうしてもパンの大小が出来てしまい、販売員さんが陳列しづらそうな顔をしているのが解って申し訳ないやら情けないやら・・・みたいな経験はパン屋さんならほぼ全員が経験積みでしょうし、大きくなってしまったパンはやや潰れ気味になるわ、クープは開かなくなるわ、色付きは悪いわ、反対に小さめに焼いてしまったパンはいつもより黒っぽく焼けてしまうわ、固そうだわ、クープはあばれて見る影もないわで、このホイロの見極めというのはとにかく商品の品質に実に直に関わってしまう技術と言えるでしょう。

ホイロの見極めを教える際に、これくらいの大きさになったら焼いてくださいと言って型を使って指導する方法が良く行われていますが、それはあくまで初めてホイロを経験する際の話で、その後は毎日毎日、そして毎回何度も何度も発酵したパン生地を見たり触れたりしていくうちに、自然とその人なりの ”こんなもんかな” が出来上がっていくと思うのです。

その日の気温や湿度によっても若干違いが出てきますし、生地そのものの捏ね上げ温度だったり、生地の硬さや捏ね具合だったり、成形する人によって違いがあったりするなど、全く同じ状態というのはけして無いとも言えるパン生地を、どのタイミングで焼くか決断するというのはまさに技術と言えますよね。

それだけに、自分にはわかるけれど人には教えづらいというのもホイロの難しさと言えるでしょう。

さて、そんなホイロですが、パン職人によって、あるいは会社によってある程度の個性と言いますか傾向というものがあります。

全般的に大きめにホイロをとっていて、多少潰れ気味のパンが多いものの、柔らかさが伝わってくるようなパン屋さんと、全般的に小さめにホイロをとっていて、焼き色や形にメリハリがあり、ソフト感というよりも香りが伝わってくるようなパン屋さんがあります。

みなさまはどちらのタイプが好きでしょうか。

このようにしっかりと分けてホイロを管理出来ているパン屋さんと言うのは、どちらのタイプだとしても相当な技術力があると言えますし、アレンジ物よりも伝統的なパンを重んじているお店であると感じます。

他方残念なのは、日によって、商品によって、バラツキがあるお店です。

私個人としては、お店には技術力を求めて買いに行きますので、大きさや焼き色がバラバラだったり、具の量がまちまちだったり、陳列に気を使われていないとパンがとてもかわいそうに感じてしまい、すぐに店を出てしまいます。

ハード系のパンが高温多湿ホイロに入れられていて、クープしたら潰れてしまった・・・みたいなものや、層がきちっと出ていない、油が流れ出てしまっているクロワッサンなどを見ると、それはもう悲しい気持ちになります。

しかし現実にはこんな状態のお店は意外と多い・・・

多くの人はパン屋さんを選ぶ際の自分なりの指標がきっとあるのでしょうね。

好みのパンがたくさんあるとか、価格がちょうどよいとか、種類が豊富であるとか、品揃えのバランスが良いとか、雰囲気が良いとか、買いに行きやすい場所であるとか、お店がかわいいとか、プライスや置物がおしゃれであるとか、こうして改めて考えて見てみますと、実に多くの動機によってお店を選んでいることが解りますね。

人気店と呼べるようなお店であっても、やはりパンの大きさにはバラツキがあったり、ハード系のパンのホイロが残念であったりするお店もありますので、そういうお店に通われる方と言うのは、求めている方向性とか目的が技術面ではなくその他の魅力なんだなと感じます。

もう少しだけ掘り下げて考えてみますと、パンがとにかく好きで、パン屋さんには務めたことはないけど好きが転じて開業したオーナーのお店と、とにかく辛い修行を積んでいよいよで開業したオーナーのパンにははっきりとした違いがあります。

修行未経験のオーナーのパンというのはとても斬新で、伝統とか本来の作り方にこだわらずに自由に作るものが多いので、新しい人気パンを生み出すことが多々あります。

他方修行を積んだオーナーのパンと言うのは、見るからに技術力が冴えわたる伝統的な品揃えが多く、とても安定感があります。

修行と言うと重苦しくとらえられがちですが、要するにパン作りを習得するために何年も働いて実体験として得た経験や自信をもとに、その経験や伝統を守りながらも自分らしさを出していこうというスタイルですので、数々の難題をクリアーしてきたバックボーンがあり、商品にはそこで得た自信のようなものがみなぎっている気さえします。

パン屋勤めを経験せずにお店を始める人なんて実際にいるの・・・???

それでできるものなの・・・???

なんて思う方も多いのではないかと思いますが、私の知る限りでは今現在、約6割がパン屋さん修行未経験のオーナーなのです。

未経験と言うことは、製パンにおける様々な問題点を自らのお店を開業してから味わうことになる訳で、さらにはそれを教えてくれる人もいない訳ですから自らが考えて解決しなければならず、しかしそれでも好きで好きで、もっともっと新しいものにチャレンジしたい・・・そんな根っからのパン好きオーナーですので、その発想たるや脱帽ものです。

しかも、どれだけ製造に時間をとられても全く疲れと言うものを知らない・・・

好きであるということは、とんでもないエネルギーを備えているものなんだなといつもいつも感心してしまいます。

と、そんな一見素人開業のようなオーナーの作る斬新な発想のパンに魅力があることは、お客様がそれを証明している時点で私がとやかく言うようなことではありません。

ただし、どこまでいってもパンは膨らませてから焼くということだけは変わりませんので、その膨らませ方、つまりホイロの温度湿度管理にだけはきちんとした考え方をもって取り組んでいくべきであると思います。

常に高温多湿で生地がベタベタになっているようでは、それはパン生地が膨らんでいっているのではなく膨らまされてしまっているのです。

また、ホイロの中というのは常に室外よりも蒸気が漂っており、温度も高めであることから、カビや異臭が発生しやすく、パン作りの現場の中で最も不衛生になりやすい場所です。

毎日こまめに清掃をして、生地や粉をきれいに取り除いた後にアルコールなどで消毒して、最後は扉を開けて乾燥させましょう。

美味しさとか斬新さを求めることは非常に大切なことですが、食べ物を作る仕事にとっての安全というのは衛生的であるということです。

ベタベタ、ドロドロ、臭い、カビだらけの場所に入れられたパンが信頼を生むなんてことはまずないと思います。

衛生的でかつ温度湿度管理が行き届いた環境の中で、”ここだ” のタイミングで焼かれたパンだからこそ自信をもって提供できる、大切なのは製パン経験があるなしなのではなく、信頼に値するものを作り続けることであると私は考えます。

ホイロ、発酵室内が奇麗なお店というのは正直少ないと思います。

かく言う私自身も見てみぬふりをしてきた一人でした。

さあオーナー、自らの手で今すぐにホイロ掃除を行いましょう。

きっと何かが変わると思いますよ。




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最終更新日 : 2019-06-02

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