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ベーカリーアドバイザーの部屋

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2019-12-28 (Sat)  05:21

パウンドケーキの焼き時間は重要か・・・

時々ではありますが、このような質問を受けることがありました。


・焼き菓子(パウンドケーキ)にも焼減率というものがあるのでしょうか?


・パウンドケーキの理想的な焼減率というは何%位なのですか?


・パウンドケーキを焼く時に目安になるのも、パンと同じように焼減率になりますか?


・パウンドケーキを作る際にバターと砂糖を混ぜますが、手でホイッパーで混ぜるのとミキサーを使って高速で混ぜるのではどちらが良いのですか・・・手の平で混ぜるという方もいらっしゃるようですが・・・


・グラニュー糖だと粒々が残ったりする場合があるので上白糖か三温糖を使うようにしているのですが、これって間違ってますでしょうか?


・パウンドケーキを作る時の卵なのですが、溶いてから入れるべきですか?それともそのまま一個ずつ入れて良いのですか?もしかしてこの質問って意味ないですか?


・バターと砂糖を混ぜるときは、白っぽくなるまでと言いますが体積?容積?で判断基準等あるのでしょうか?



これらは、現在までにメールなどで頂いた質問を拾い出したものですが、焼き菓子を作る際の、例えば「コツ」であったり「見極め方」というような部分は、意外と人によって違いがあるなと感じています。


ということはつまり、本当はどちらが正解かということなのではなく、目的に応じてそのコツの部分も違ってくると言うことなのだと思うのです。


とは言え、ある程度の理屈が解っていないと、目的に応じて・・・と言う訳にはいきませんよね。


そこで、パウンドケーキを作る際に知っておいてほしい、ちょっぴり科学寄りなコツをお伝えしておこうと思います。


上記の質問の中で多かったキーワードが焼減率というものですが、これはこのサイトを見てくださっている方々はもう十分なくらいご存知のこととは思うのですが、パンを焼く際に水分がどれくらい飛んだかを表す指標になります。


パンの場合水分がしっかり飛んでいれば、香ばしい香りを得ることができますが、その反面水分が少ないと言うことで日持ちが悪くなる、あるいはパサパサになるのが早まるとも言えます。


水分があまり飛んでいなければ、香ばしさは無いかもしれませんが、表皮が薄く、水分もしっかり残っているので日持ちが長くなり、しっとりして美味しいとか柔らかくて美味しいと言われることも多いでしょう。


このように、パンの場合は全体に占める水分量がかなり多いので、焼き上げた後の水分がどれくらい残っているかによって食感や日持ち、そして風味に大きく影響してきますので、焼く際の温度、そして時間はかなり重要になってくるわけです。


ではパウンドケーキの場合は、焼成時間や焼成温度はどれくらい重要だと思いますか?


なんて言うとお菓子を作る方に怒られそうですが、実際のところパウンドケーキの場合には特にですが、ほんの数分で激的に変わってしまうというようなことはありません。


これがパンの場合でしたら、例えばパウンドケーキの型くらいの大きさで焼いた場合、5分の時間の差があったとしたら、へたをすると上部が焦げてしまったり、あるいは焼きがあまくて腰折れしてしまうこともあるかもしれません。


パウンドケーキに比べると、同じくらいの大きさのパンでも焼成時間は半分以下であることがほとんどだと思いますので、この5分の差というのはパンの場合だと非常に大きな差になってくるわけです。


お菓子作りの書籍、あるいはサイトなどでレシピを調べても、パウンドケーキの焼成時間についてはあまり細かくは書かれていないことが多いと思います。


同じグラム数のものであっても、こちらのサイトでは30分くらいだとか、違うサイトだと45分とか、あるいは30分から40分くらい焼くなんていう表現もあったりします。


私も実際に作ってきた過程において、10分くらいの時間差はチョイチョイありましたし、実際に作られている方々もそれは感じていることなのではないでしょうか。


パンの場合には、オーブンをちらっと開けて焼き色を見て判断するというのが一般的なのに対して、パウンドケーキの場合には中央部分に串をさして、なにもくっついてこなければOKという判断で焼いている方が多いと思います。


ですので、どちらも焼くと言う点においては同じであっても、どう焼くべきかとか、何度で何分焼くべきかという点においては、少し違う考え方で捉える必要がありそうだということになりますよね。


さてそうなりますと、質問の中で多い焼減率に的を絞って考えていきますと、パウンドケーキの場合にはどれくらい水分が飛んでいるのが理想的だと言えるのでしょうか?


それを考えていくためには、まずはそれぞれの原材料について見ていく必要があります。


ただし、それぞれ細かく説明していると収拾がつかなくなりますので、ここではかいつまんで簡潔に説明しておきます。


パウンドケーキに使われる原材料というのは、基本的には4種類がほぼ同量使われることが多いと思います。


それは、バターあるいはマーガリンなどの油脂、卵、砂糖、そして小麦粉の4種類ですね。


もうここですでにパンとは大きな違いがあるのが、水が入らないと言う点になります。


さらにです、それぞれの原材料の水分量を見ていきますと、バター??には水分って入ってたっけ??てな感じではありますが、意外にも20%弱は水分で、卵が約60%、そして砂糖と小麦粉にはほぼないようなものであることがわかります。


ちなみにマーガリンだったら水分は入っていません。


砂糖は溶けるとべた~っとしますので、水分多そうにも見えるのですが、どうやらそれは水分ではないようですね、ややこしいですが(-_-;)


ということで、これらの原材料をほぼ同じ分量で使う訳ですが、結論からしてトータル的な水分量というのはそもそもあまり多くはありませんね。


特にパン生地と比べると明らかに水がめちゃくちゃ少ないことが解ります。


しかし、実感としてはパウンドケーキの生地なんてベッタベタで、とても手に取って成形??なんてできませんが、水分量がはるかに多いパン生地はどうして手に取ることが出来るのでしょうね。


それはつまり、パウンドケーキで言えばつなぎになり、パンで言えばメインの原材料になる小麦粉の量と性質が違うからですね。


小麦粉の割合ですが、パウンドケーキの場合には何がメインかと言いますと、卵でしっとりとコクを出し、砂糖で魅惑的な甘さを、バターで濃厚な旨味を出す、これらがメインのお菓子であり、あくまでそれらを支える柱として小麦粉が入ります。


残念ながら、パンとは違ってパウンドケーキの場合には小麦粉はある意味わき役なのです。


そしてその割合は全体の四分の一でしかなく、しかも薄力粉というグルテンの少ない小麦粉になります。


パウンドケーキという焼き菓子の正体は、これらの比較的水分量の少ない、しかも濃厚な食材を、ギリギリ固体化させるためのつなぎとして小麦粉を使った食べ物ということになりますので、酵母を使って膨らませるパンとはトータル水分量が全く違うこと、そしてオーブンの中での膨らみ方や、内層の違いや焼き色の付き方などが全く違うのだということをまずは抑える必要があるわけです。


では実際、パウンドケーキの場合には水分は何%飛ぶことが理想なのでしょうか?


実はその正解は、私には解りません・・・


なぜなら計測したことがないからです。


もちろん、焼く前と焼いた後の重さを計っていただければ良いだけですので、ぜひ一度計ってみてほしいとは思いますが、そもそも計ったことがないというのは、そこに意味を求めていないからなのです。


ここまで、さも意味ありげに書いてきておいて、最後にそれはないだろう・・・


そう思われた方にはスミマセンとしか言いようがありませんが、例えば菓子職人さんの中には、水分量までも気にしている人もいるかもしれませんが、あくまで個人的な意見としては、焼き菓子においては水分量をメインとした判断はあまりあてにならないと考えています。


どういうことかと言いますと、食品に含まれる水分の中には、そもそもその食材の組織の中に存在している水分と、あとから単体で加える水というのは、水分としては同じようでも、その活動や役割は意外と違うものなのです。


それがいわゆる遊離水と結合水というものなのですが、解りやすく言いますと、水単体で食品中を動き回ることが出来る水分と、食材の組織内でその食材とともに存在している水分とでは、蒸発の仕方も違いますし、それが品質に与える影響力も全く違うのです。


肉や魚から水が出てしまうとか、野菜に水を含ませるとパリパリするとか、水の動きとか性質というのは実はすべて同じではないのです。


パウンドケーキの場合には特にですが、単体で水は入れませんよね。


ということは、もともと食材の組織の中に含まれている水、つまり水も組織の一員である結合水がほとんどですので、その水をどう飛ばすかという考え方は、バターや卵をどう蒸発させるかということと同じ考え方になりますので、せっかくの濃厚な食材をどこまで焼いて蒸発させるべきかと言う発想は少し違うのではないかと思う訳です。


では何を指標として焼けばよいのかですが、それは串を差して焼き加減を見ている人が多いのがまさにその証だと言えますが、火が通っていて、そして潰れないように骨格が出来上がっていればそれでよいということなのです。


焼成の温度帯もそうなのですが、温度が高くなれば当然のことながら表面の色が付きやすくなります。


すると、丁度良い色合いだわ・・・と思っていたら、実はまだ中が生焼けだったなんてことになったりしますよね。


逆に今度は温度を落としてじっくり時間をかけて焼いたら、色は薄くてあまり美味しそうには見えないけど、食べてみたらしっかり美味しかったと言うこともあろうかと思います。


ということは要するに、十分に中心まで火が通りそうな温度帯で、そこそこお気に入りの焼き色になる時間まで焼くということにつきませんか。


そしてそれは、業務用オーブンなのか家庭用オーブンなのか、電気なのかガスなのか、何本焼くのか、型の大きさは・・・などの違いによってそれぞれまったく違うわけです。


もっと言うと、パウンドケーキの中心部が生焼けであったとしても、食べられない訳ではありません。


ただ、焼成後の日持ちはしませんよというだけのことです。


もともと水分をあまり含まないパウンドケーキですので、多少焼きすぎたくらいでは、パサパサになるなんてこともまずありません。


そう考えますと、これらの焼き菓子類というのは、その食材そのものの品質、そしてその組み合わせを楽しむ食べ物であるとも言えますし、一番大切なのは素材を組み合わせた時の美味しさをどう表現するか、組み合わせることによってどんな新たな味を生み出すのか、そんな視点がもっとも重要なのではないかと思います。


焼減率に関しては納得していただけましたでしょうか?


その他の質問に関しては、次回以降考えていきたいと思います。




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最終更新日 : 2019-12-28

No Subject * by かぼす
明けましておめでとうございます。

ベーカリーアドバイザー様の焼減率について納得致しました。

次回を楽しみに待っておりますので
宜しく御願い致します。

* by -
こんにちは
砂糖には水分はないとの事ですが砂糖の配合増やしたら水分減らした方がいいですよね?

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No Subject

明けましておめでとうございます。

ベーカリーアドバイザー様の焼減率について納得致しました。

次回を楽しみに待っておりますので
宜しく御願い致します。
2020-01-02-10:33 * かぼす [ 編集 * 投稿 ]

こんにちは
砂糖には水分はないとの事ですが砂糖の配合増やしたら水分減らした方がいいですよね?
2020-01-03-10:13 * - [ 編集 * 投稿 ]