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2021-06-14 (Mon)  05:00

クロワッサン自家製VS冷凍生地

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目移りするようなデニッシュやクロワッサン達が見事に並んでいますね。

パン屋を始めるにあたって必ず揃える設備の一つにリバースシートと言う機械があります。

モルダーに引き続き、必需品であるという認識をお持ちの方が多いと思うのですが、皆様のお店はいかがでしょうか?

もう使いすぎて、何度も買い替えた・・・なんてお店もあれば、買ったはいいけど物置台になっているというお店もありますね(笑)

リバースシートというのは、デニッシュ生地やクロワッサン生地などを折り込む機械になりますが、この機械を使ったからと言って、デニッシュが簡単に出来るかと言うとそうではありませんよね。

デニッシュであれクロワッサンであれ、形を整えたり揃えたりするのは非常に難しい部類に入るでしょう。

これらの折り込みから成形までを満足にこなせるようになるには、正直かなりの技術を要すると言えます。

実際にパン屋さんに伺うと、大きさがまちまちであったり、伸びていたりいなかったり、膨らみが違っていたり、層が綺麗に出ていたり出ていなかったりと、非常にバラつきが多いなと感じるときがあります。

これらのパンが綺麗に揃っていると、そのお店は優れた技術力を持っているとすぐに判断できます。

皆様のお店は揃っていますか?(笑)

いや失礼、笑う所ではなかった・・・

手作りにこだわるお店においては、ほぼこのリバースシートを利用して自分で折り込みから成形までを行っていることと思いますが、チェーン展開しているお店では冷凍生地を使っているところが増えてきているのではないでしょうか?

パン全体としては不揃いが目立つのに、なぜかデニッシュとクロワッサンだけはきれいに揃っている…なんてお店も良く見かけます。

このようなお店はたいていの場合冷凍生地を使っていると言えるでしょう。

それくらい品質が安定しているのが冷凍生地のデニッシュやクロワッサン生地なのですが、ではこれらのデニッシュやクロワッサンの冷凍生地と言うのは、他の冷凍生地と同じで、手作りに比べたら味気ないとかソフト感に欠けると思っていますか?

私自信かなり多くの種類の(多くの国内メーカーや海外メーカーも含み)冷凍生地を使ってきましたが、ことデニッシュとクロワッサンに限って言えば、手作りではとてもかなわない品質だと感じることがしばしばでした。

「冷凍生地を使うということは、その生地を買って使っているパン屋さんは皆同じ味のパンになるし、そもそもそれではオリジナルとは言えない」

「使った時点で負け、それはもう手作りとは言えないのでは・・・」とお考えの人も相変わらずいらっしゃる。

ならば極論から言って、例えば大手のクロワッサンと同じ品質のものが作れるという自信はありますでしょうか。

あれだけ安定した折り込みと成形、そして高品質の発酵バターを使用して同じように作れるお店というのは、かなり限られてしまうのではないでしょうか。

なぜなら、クロワッサンとデニッシュに関しては、そもそも発酵時間をどう取るかというような事よりも、むしろ折り込むバターの品質、そして何よりも折り込みの技術が優先するからなのです。

バターの品質という点においては、当然のことながら取引量が圧倒的に多い大手にかなう訳がありません。

また、折り込み技術という点においても、残念ながら機械の精密さにはとても歯が立ちません。

デニッシュやクロワッサン生地、そしてパイ生地などの伸ばしながら折り込んでいくという工程を、何よりも得意としているのが製パンラインなのです。

残念ながらこの点だけは認めざるを得ないと感じてなりません。

だから大手の冷凍生地を使うべきだ・・・そう言っている訳ではありませんよ。

わざわざ品質の悪いマーガリンを使って、技術力に自信がないのにリバースシートで折り込み、それが手作りの良いところだという考え方は間違っていると言いたいのです。

手作りには無限の可能性がありますし、無限のオリジナリティもあります。

しかし、機械には機械の得意分野もあることを認めて、うまく活用していくことで総合的に安定した品揃えを行うことも出来る訳ですし、考え方によってはリバースシートを揃えなくても、デニッシュでもクロワッサンでも品揃えすることが出来ることになります。

これらの商品と言うのは、生地だけを食べさせるパンではないことが多いですよね。

様々な具材を使って成形も独自に行えますから、見た目も味もアレンジは自由自在のはずです。

けして冷凍生地を使ったからと言って、すべてが同じパンになるわけではないのです。

何となく冷凍生地を勧めているように聞こえるかもしれませんが、折り込みや成形に自信がないのでしたら、迷わず使うべきだと思います。

こちらの画像を見て下さい。

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こんな感じで生地が延ばされ、しかもカットされてこの後巻かれていきます。

完全に完成しているクロワッサン生地もある訳ですが、このままの三角の状態でも販売されていますので、様々な具材を巻き込んでいくことが出来ます。

もちろん四角とか長方形なんかもありますよね。

A4サイズ位の大きなシートもあったりしますね。


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これだけ安定した形で、しかもこのように具材まで同じ量絞った状態で、一時間当たり数万個も出来てしまうのですから、それはそれで脱帽でしょう。


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こんな風に機械で具材を包むことまでできますし、


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よく見る成形だと思いますが、こんな風にねじったりするのも得意なんですね~

逆に私達は、このように伸ばしたりねじったり、何かを折り込んだりというのはどちらかと言うと苦手ですし、場所も取りますし、不揃いに悩まされる部分でもありますよね。

その点、これらのラインというのはそこが大の得意分野なのであり、その恩恵にあずかることはむしろ理にかなっているのです。

私がパン屋になりたてのころから現在に至るまで、ずっとこれらの伸ばしたり折り込んだりを得意としてきた製パンラインのパイオニアがレオン自動機と言う会社で、その名前を知らない人はまずいないことでしょう。

私自身も随分とこの機械を使ってきましたし、売られている冷凍生地のほとんどがこの会社のラインで作られていると言っても過言ではないでしょうが、このレオン自動機がもっとも得意としているのがこれです。


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そう、包むに特化したラインですね。

それこそ中小から大手まで、スーパーや土産屋さんなどで売られているこれらの饅頭や大福やあんぱんに関しては、そのほとんどがこの会社のラインのはずです。

包んだ断面が見えていますが、これほど正確に真ん中に包むことはほぼ不可能ですよね(笑)

究極の冷凍生地

冷凍生地と言うと、良くても成形までしてある生地のことで、当然ながら解凍して発酵させて焼くという工程がまっています。しかし、ある意味工程短縮の究極技だと言えるのが「ホイロ後冷凍」で、これは文字通り発酵まで完了して冷凍してあるパンになる訳です。ですから、冷凍庫から出して焼くだけで品揃えできますから、さてと思ってから20分程度で焼き立てを提供できるのです。当然ながらすべての工程をお任せしている分高額になる訳ですが、先日ヤマザキパンのホイロ冷凍クロワッサンを食べたところ、その美味しさに本当に脱帽しました。ヤマザキと言えばビドフランスでもデリフランスでもクロワッサンは人気商品ですから、美味しくないはずはないとは思いましたが、もうそんなレベルではなく最高でした。ここまで美味しく作る自信は??????


と言うことで、相も変わらず忙しく働いているであろう皆様にも、このような最高品質の冷凍生地もあるのだということを知っていただき、それらをうまく活用することで全体の作業工程を短縮することにも貢献すると思いますし、アレンジすることで品揃えの強化にも貢献するものと考える次第です。

そもそもミキサーだってオーブンだってモルダーだって機械ですから、まさかすべてのパンを手捏ねで行っているパン屋さんがあるとも思えませんので、そのあたりは柔軟にお考えいただき、より得意分野を生かす品揃えに挑戦してみてはいかがでしょうか。




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最終更新日 : 2021-06-14

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