ご無沙汰しておりました・・・
2022年月新年早々からまたしても新種のコロナに驚かされて始まりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
ブログを無期限で休止と言っておきながら約半年、なぜか再び舞い戻って来てしまいました。
休止中は予想以上に多くの方々に感謝の言葉をいただき、この場をお借りして改めてお礼をさせてください。
本当にありがとうございました。
「力を頂いてきた・・・」「いつも楽しみにしていた」とのお言葉に、こちらこそ力をいただきました。
少しは誰かのお役に立つことができているのだとしたら、この上ない幸せです。
人生最大の悩みのタネが人間関係にあるのだとすれば、生きる意味を見いだせるのもまた人間関係なのですね。
ブログを書くことを止めて以降、その空いた時間はかなり勉強に当てることができました。
また、より多くの方の相談にもまったりとのることができて、いろいろな意味で長期休暇を取ったような気分にもなれました。
個人的には昨年より新たな職場である福祉施設にお世話になることになり、今までの多くは知的障害者施設でのパン作りでしたが、今回は新たに精神障害の方たちが通う施設でのパン作りに励んでいるところです。
知的障害者の方とは通算すると10数年は一緒に仕事をしてきて、その障害特性はよく理解しているつもりでしたが、精神障害の方はガラッと変わって非常に難しいと感じています。
何が違うのかといいますと、知的障害というのはほぼ生まれつきで、自分自身は生まれたときからそのままの人生ですから、障害はなにか病気にかかってしまったとか、事故にあって障害を追ってしまったというようなものではなく、我々同様生まれたときから死ぬまで今の自分自身を生きることになります。
しかし精神障害の方の多くは、ごく普通の健常者としての人生から、何かのきっかけである日突然発症してしまう病気のようなものなので、自分自身でそのことを受け入れられていない方も多く、またその障害の特性も様々で、パット見はごくごく普通なのに、自殺願望があったり記憶が飛んでしまったり、突然落ち込んでしまったり、突然攻撃的になったり、とにかく見た目からは何も判断できないので、どのように付き合っていけばよいのか解りにくく、ある意味通常の人間関係以上に難しいと感じております。
また同時に、そのような方々に少しでも生きがいを、安らぎを感じてほしいと言う信念に基づき、それを仕事とされている方々には誠に頭が下がります。
ご近所や職場にも、必ずと行ってよいほど「ちょっと考え方がおかしい人」「あきらかに変わった人」というのがいるものですよね。
どこからが障害でどこまでが個性なのかはわかりませんが、人間というのは頭がよい分、実に様々な個性の方が混在しているなと感じますね。
私にはパン作りは出来ても、そのような福祉の仕事は無理だなと痛感させられます。
さて、このブログでは製パン理論に関することを解りやすい表現でお伝えするという趣旨で自分目線の記事を書いてきましたが、そもそも難しい理論なんてそうないんじゃないかな?と思っています。
パン作りというのは理論が重要なのではなく、それぞれのお店や個人によってパンの作り方は全く違うようですし、配合から完成品に至るまでのプロセスも作る人の数だけ存在しているわけで、「基本理論はこうですよ」・・・はあまり自分のケースには当てはまらないという人が多いと思うのです。
職場によって、設備によって、製法によって、技術力によって、立地によって、営業日によってなどなど、ケースバイケースでお困りのことがたくさんあるでしょうから、そのあたりの具体的な問題点や対応策をご紹介していくことの方が皆様のお役に立つのではないかと感じています。
今までにやり取りを行ってきたパン屋さんとのメールの内容や、お店に伺って直面してきた相談内容などにもとづき、可能な限り公開していくことできっとあなたのお店のケースにも当てはまる事柄があるのではないかと考えます。
あわせて、パンに限らずより個人的な視点で問題だと思える事柄を暴露して行きたいと思っています。
せっせと更新はできないかもしれませんが、たまに覗いていただけたらと思う次第です。
ということで前置きはこれくらいにして、あるお店のオーナーとのやり取りから再びお付き合いくださいませ。
ではまずこちらから・・・
品揃えの意味とは自分の好みだけで品揃えしても、それではいけないことは解っている。奇抜なパンばかりでも駄目で、誰でも馴染みのあるアンパンなどはやはり品揃えしていないと心配だ。かと言ってダサいパン屋だと思われたくないのでついついカッコイイパンを並べたくなるが、やっぱり売れはしない・・・と品揃えに大いに悩んでいるようだが・・・
試食させていただきましたがこれは確かに美味い。
私史上過去最高に旨いとも言える美味しさでした。
こんなに美味しいパンが売れないはずがないと正直思いますが、売れないには売れないなりの理由があることだけは確かですなのです・・・残念ですが
しかし現実には単なるお飾りで終わってしまっている・・・
私が「このパンを焼く意味ってなんですか」と問うと、フランスパンがないとパン棚がカッコつかないし、やはり焼きたてパン屋にはフランスパンがつきものだと思うから・・・という返答でした。
似たような考え方のお店も多いことと思います。
テレビで紹介される有名店ではフランスパンはとても売れ筋ですし、それよりももしかしたら勝っているかもしれない品質のフランスパンを出しているのになぜ売れないのだろう・・・
そうです、たしかにその一点だけを見ていると、納得できないことも解らなくはありません。
やや盛っている感もありますが、有名店のフランスパンが売れているのは事実でしょうし、こちらのお店のフランスパンが7年間売れないでいることもこれまた事実なのです。
さてそれでは別の見方をしてみましょう。
7年間お店をやってきて、日商は約8万円というこちらのお店。
試行錯誤を繰り返してきたにも関わらず、7年もの長きに渡って売れずに来た根性のあるフランスパンですが、いったいそれはなぜなのでしょうか。
少し考えてみましょう。
長きに渡ってお店に置いてあるからといって、お客様は必ずしも一度は買ってみようとなるものでしょうか?
お客様は、そのお店にある商品をすべて食べてみたい、制覇してみたいと思って来ているわけではない気がしませんか。
むしろ自分の好きなものを買うことを前提に来店し、その他は香りとかデザインとかに誘惑されて、あるいは新商品とか限定品とかおすすめ品とか一番人気とかに誘惑されて手にとってしまうのではないでしょうか。
そんな時にいつも飾りかと思っていた食べたこともない長くて硬そうなパンに目が行くでしょうか。
いやまずいかないでしょう。
それが売れない事実なのではないでしょうか。
オーナーとしては自信があるし自らも大好きでしょっちゅう食べているパンが売れないことが不思議なのかもしれませんが、お客様からしたら多分フランスパンは買ったことがない、もっというと食べた記憶がないくらい縁遠いものなのではないでしょうか。
だとしたらまずは何をすべきでしょうか。
お客様に「フランスパンて意外と美味しいのね」と感じていただく為に出来ることをしてきたでしょうか。
庭に素晴らしい盆栽が並んでいるお宅があったとしましょう。
好きな方ならいつまでも見ていられるかもしれませんが、興味のないひとからすればまず素通りではないでしょうか。
「お客様のすべてがフランスパンを食べたことがないなんてありえないのでは・・・」と思うかもしれませんが、実際に来店されているお客様はほとんど興味がないことは明らかでしょうし、それは事実が物語っていますよね。
こう分析できないでしょうか。
そもそもフランスパンはバゲットしかないために、長くて持ち運びずらい、硬そう、大きすぎる、どう食べていいか判らないということなのではないか。
つまり、フランスパンの生地を使った、食べやすそうな、美味しそうな、お手頃なパンがあれば皆さん普通に手に取るのではないでしょうか。
そして初めてフランスパンの美味しさを知り、大手のフランスパンとの違いに驚くのではないでしょうか。
フランスパンというのはシンプルなパンですので、ご飯が大好きな、食パンが大好きな日本人には必ず受け入れられるパンであると思うのです。
問題なのはその美味しさを提案せずに来た、食べてもらう努力をしないできたことにあるのではないかということなのです。
フランスパンイコールバゲット、バゲットイコール45センチで350グラムでないといけないというのは、それは作る側の発想であり、それをなんとしてもお店に並べたい、並んでいないとカッコつかないというのはディスプレイとしてはそれで良いでしょう。
しかしそれでなぜ売れないのかと言われても、お客様はディスプレイを買いに来ているわけではありませんから、当然ながらあまり売れないという現実がそこにあるのではないでしょうか。
また、数少ないかもしれないバゲット大好き人間のお客様からしたら、「もう少し色々なハード系パンがあればな・・・」と残念がられているかもしれませんよね。
アイテムを拡充するのであればしっかりと試食なり食べ方の提案チラシなどを活用する、特設コーナーを設けて宣伝するなどして、まずは食べてもらうことから始めれば必ず売れていくと思います。
拡充する気がないのであれば、何が何でもフランスパンがラインナップされていなければいけないわけではありませんから、あえて中止して得意のアイテムを広げていけばより売上も上がると考えます。
7年間持続して、そして日商8万円あれば個人店としては成功しているといえます。
オーナーの技術力と商品開発力は間違っていなかったという証であり、地域に根付いているということは明らかなのですから、何かを押し売りするのではなく、さりげなく提案したり試食していただいたりしながら、お客様が望んでいるものは何なのか、自店の強みは何なのかを模索し続けていただきたいと思います。
今後どのような商品構成で望んでいくべきかをオーナーは常に考え続けていると思いますが、お客様の動向というところに目を向けてみてください。
同じものばかりをたくさん買っていく人、新商品ばかりを買う人、おすすめ品は必ず買う人、食パン以外は目もくれない人・・・等々、実に様々な買い方をされていることに気が付きますが、そんな動向を直に見れるのも焼きたてパン屋ならではですから、どうか大いに観察してみてください。
ハード系が何より好きなオーナーがもしこのお店の客だったとしたら、おそらくバゲットは毎回買うことでしょうし、できればもう少しラインナップしてほしいと思うはずですよね。
今はそういう客層ではないわけですから、というよりもそういう客層を呼び込めずに来たわけですから、一生懸命宣伝していただいて、そして試食もしていただいて、ハード系が好きな客層も取り込めるようになれば更に売上は上がるわけですし、希望しかないと思います。
うらやましいかぎりです。
これが本物のフランスパンだ・・・という姿勢ではなく、大きさや形も手頃なものに変えて、お客様も知らずのうちに手にとってしまうようなラインナップをお願いしたいと思います。
また、これも売れ筋を作る基本ですが、一日数本しか焼いていなかったということは、夕方にはカサカサのフランスパンであったはずです。
製法を駆使して、一日にせめて2回は焼き立てを出していきましょう。
バゲットとかカンパーニュなどの大きなパンを作るのであれば、必ず半分、四分の一などのカット、それからスライスをして袋に入れておくことで確実に手に取ってくれるお客様が増えます。
味はもう充分美味しいのですから、とにかくどうやったら手に取りやすくなるかに集中しましょう。
自分が客側だったら
フランスパンがディスプレイになってしまっているお店は意外と多い気がします。成形はうまくいったか?クープは決まったか?カッコ良いか?・・・それは残念ながらほとんどのお客様には何の興味もありません。自分が客でもカサカサのフランスパンでしかも毎日同じバゲット一種類だけしかなかったら、別の店に行こうと思うはずです。自分だったら店側にどうしてほしいかを考えてみましょう。多くのお客様にも話を聞いてみましょう。そうすればきっと答えは見えてくるはずです。
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最終更新日 : 2022-02-27
Re: No Subject * by しずかな朝
いつまで続くか判りませんが、今後とも宜しくお願いします。
励みになるお言葉、感謝いたします。
励みになるお言葉、感謝いたします。
No Subject * by そら
おはようございます。
再開してくださって嬉しいです。
私はド素人ですが困ったときとかに参考にさせてもらってます。
ありがとうございます。
再開してくださって嬉しいです。
私はド素人ですが困ったときとかに参考にさせてもらってます。
ありがとうございます。
No Subject * by -
このブログは流行りに左右されない
私にとって大事な指標でしたので
ブログが再開されて本当にうれしいです。
ありがとうございます
私にとって大事な指標でしたので
ブログが再開されて本当にうれしいです。
ありがとうございます
Re: No Subject * by しずかな朝
そらさん、ありがとうございます。
これからも応援宜しくお願いします。
これからも応援宜しくお願いします。
Re: No Subject * by しずかな朝
NO NAMEさん、コメントありがとうございます。
ちょっとひねくれた、恐らく険しい道を行く指標だと思いますが、これからも応援宜しくお願いします。
ちょっとひねくれた、恐らく険しい道を行く指標だと思いますが、これからも応援宜しくお願いします。
ブログを再開していただきましてありがとうございました。
何時か再開してくださることを期待しておりました。
本当に嬉しいです。