
パン屋さんの設備の中でも、特にコスパが良いのがドゥコンディショナーでしょう。
ドゥコンディショナーが無いパン屋さんを逆にお見かけすることが出来ないくらい、どこのパン屋さんにもありますね。
ただ、その使い方についてはパン屋さんによって実に様々です。
今回は美味しいソフトフランスパンの冷凍生地の開発に成功したことを記念して(勝手に祝いたくて笑)ドゥコンディショナーを使った冷凍生地の取り扱いについて解説していきたいと思います。
ドゥコンディショナーと言えば、そのほとんどの使い道としては前日に成形が完了した生地を天板に乗せてセットし、翌日焼成から行うというやり方が主流だと思います。
そうすることで、オーブン担当者の出勤時間を少しでも遅らせることができるからですね。
また、焼き立てのパンが早い時間から並べられるからという事ももちろんあることでしょう。
ただ、そのようにして早朝からとりあえずパンを焼くだけ焼いてしまわないと間に合わないパン屋さんというのは、駅前立地であったり駅ナカ立地であったり、出勤時間前が勝負の立地にあるお店か、あるいはそもそも開店時間が早いお店か、さらには売上が多くて早く揃えないと間に合わないような羨ましいお店に限ると思うのです。
昨今では開店時間や定休日の設定も実に様々になってきており、何が何でもまずはパン焼きから初めないと・・・というお店はそうない気がするのです。
だって、現実問題としてあまり早くから焼いてしまうとオープン時間には冷めざめとしてしまうからですね。
ということで、そこまで焼きを早々に行う必要がないようなお店の場合に特にオススメなドゥコンディショナーの使い方というのが、
ドゥコンディショナーを解凍庫として使う
というご提案なのです。
と言ってもすでに行っているお店も多いとは思いますけどね・・・
ではその実際を説明して参りましょう。
こちらは東京製菓学校さんの設備になりますが、このようにドゥコンディショナーが2台ある、あるいは3台あるようなお店や、1台だけど2ドアあるような場合もあるでしょう。
いずれにしても、それぞれの庫内の温度管理を時間で分けていくことで、順番に解凍した冷凍生地を成形から行うことができるわけです。
また、同じ種類の生地でも時間を変えて成形することで、焼き回数が増えてより焼き立てを提供することに役立つわけですね。
冷凍生地といっても、自家製で作っているお店もあれば業者から購入しているものもあるでしょう。
しかし概ねどちらの冷凍生地であっても、ドゥコンディショナーで前日からゆっくり解凍して、最終的に復温された状態まで持っていければ、まずは成形作業から行うことが出来るのでとても便利ですよね。
また、冷凍生地のメインのイメージとしては小物のパンが主体だと思うのですが、自家製の冷凍生地なら食パンやハード系パンも十分美味しいものが出来ると思われますので、小物のパンだけでなく、食パン類やフランスパンなども成形から行い、オープンに焼きたてを提供することが可能となるのです。
自家製冷凍生地の作り方に関してはこちらの記事も御覧ください。
では実際のドゥコンディショナーでの解凍方法を細かく見ていきましょう。
1天板への乗せ方
冷凍生地も様々な大きさがありますので、当然ながらそれらがある程度膨らむことを前提に、上下左右に生地がくっつかないように並べておく必要があります。
天板に直に置くか、ビニールを敷いて置くかは、ビニールを敷いたほうが掃除が楽にはなりますが、ビニールはすぐに臭くなりますからその都度捨てることになりコスト高となります。
ただし、天板をすっぽりとくるむビニールだけはどうしても必要です。
ひこ
ドゥコンディショナーでは加湿も行われるのでビニールを掛ける必要は無いように思われるかもしれませんが、冷凍生地は冷凍状態から解凍されていく段階での乾燥が一番の敵となります。低温発酵状態になれば加湿が働くドゥコンディショナーも無いわけではありませんが、意外と乾いてしまうのが実態です。ですので必ずビニールで天板ごとくるむようにしましょう。
2温度設定
冷凍生地がどのくらいの時間で解凍され、かつどのくらいの時間復温されたかによって、その生地の状態は大きく変わります。
つまりこの温度設定こそが キモ となるわけです。
こればかりはドゥコンディショナーのメーカーによって全く違うと言えますので、やってみるしか無いと言うのが正直なところです。
ただヒントとして説明しておきますと、冷蔵時間とか解凍時間が長ければ長いほど、生地にボリュームが出ます。
逆に、それらの時間が短めで、低温発酵とかホイロの時間、つまり復温の時間が長いとボリュームに欠けるパンになることが多いと思われます。
ですので、ある程度早い段階から冷蔵帯にもっていき、じっくり解凍させてから最後に復温させるという方法をオススメします。
ひこ
この温度設定は実に難しく、入れる量やどんな生地なのかにもよりますので、ここで大いに知恵を働かせてください。それでも解決しない時はどうぞお電話ください。
3ドゥコンディショナーは解凍をメインとしよう
色々な生地をセットすることによって多品種の生地を成形から行うことが出来るのが利点のこの手法ですが、パン屋さんによってはドゥコンディショナーはあるけどホイロとしても使っているというお店も多いと思います。
すると、成形したら順次ホイロに入れなければならないので、解凍庫として使っている場合ではないというお店も多いと思うのです。
そこで考えてほしいのは、解凍までしてもらえば十分という考え方で、その後は順次ホイロにしてから復温用に使ったり、発酵室として使ったりすればよいのです。
また、ラックで室温に放置しておいて順次成形していく事ができますよね。
夏場なら室温がホイロのようなものなのでそのままでも構わないかもしれませんが、冬場は室温ではなかなか復温出来ないことも多いと思います。
そんなときには冷蔵庫やドゥコンディショナーやオーブンの上などの暖かい場所に板などを敷いて、そこで復温を順次行うようにしましょう。
ということでいかがでしたか?
冷凍生地の解凍というのは前日から冷蔵庫へ入れて解凍というのが主流だとは思いますが、今回は復温まで終えることが出来るというものになります。
また、3の解凍までなら冷蔵庫でも同じではと思った人・・・それが実は大いに違うのですよ。
順次切り替わっていく温度帯で解凍していくことと冷蔵解凍はかなり生地にとって違いが出てきます。
また、復温をしっかり行うことでより美味しくなる冷凍生地というものも実はたくさんあるのです。
どうぞお試しください。
冷凍生地に関してはこちらもチェック
- 関連記事
-
- ホイロの裏技的使い方について (2023/08/10)
- ドゥコンディショナーを使った冷凍生地の解凍 (2023/07/23)
- ホイロをあなどるなかれ・・・ (2019/06/02)
- 生地別に見る最終発酵のコツ、その2 (2012/11/25)
- 生地別に見る最終発酵のコツ (2012/11/19)
最終更新日 : 2023-08-05