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2023-09-28 (Thu)  06:47

食パンの穴あきと腰折れは同じ原因なのか?

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質問の中で最も多い「食パンの穴あき」

そしてこれまた多い「腰折れ」

色々なカテゴリでその原因や対処法を書いてはきましたが、やはり設備や配合が違うだけで当てはまらないケースがおおいこともわかってきました。

それくらいある意味難解だといえるのがこのテーマになることでしょう。

上記の画像のように上部にのみ派手に穴が開くというような場合があると思いますが、生地の状態を見る限りこの手の問題はすぐ解決できるでしょう。

なぜなら、パン生地そのものには問題がないからです。

「えっ、パン生地に問題があるから穴が開くんじゃないの??」

そうなんです、パン生地は至って正常であるにもかかわらず、このように穴が空く場合もあるのが食パンの難しさなのです。

ちょっとこちらをご覧ください。


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ご存知ヤマザキの食パンですが、どうですかこの美しさ。

内層のキメ細かさと言い外観と言い、まさに理想的な食パンの手本だと言えるでしょう。

焼き立てパン屋さんからすれば、意外と大手をバカにして見る傾向があるように見受けられるのですが、これこそがまさに正解であり王道であると私は思います。

このようなパンが作れて初めて、アレンジの難しさに挑戦し続けるのが焼き立てパン屋の使命なのであり、基本をしっかりと理解してパンと向き合わないと、このように美しい食パンを作ることはできないのだと思うのです。

捏ね上げ温度が1℃違っただけでも、このように美しく完成させることはできないのが大手の食パンです。

捏ね上げ温度から室温、そしてミキシング状態から発酵時間などを見事なまでに調整できなければ、毎日何千本もの食パンをこのように仕上げることは不可能なのです。

そこには我々焼き立てパン屋とは違った意味での管理が必要となるわけですが、製パンという理屈は同じです。

機械を使ってこの美しい食パンを安定的に作り上げることができる彼らはまさにプロ中のプロなのであり、我々はその事実を謙虚に受け止めて、我々なりの仕事をしていかなければならないのです。

・・・と、なんとなく説教じみた内容になりましたが、手本はすぐそこにあるということを知っていただきたいのです。


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さて、近頃では何かと話題の乃が美さんですが、ご覧のように腰折れをものともしない、いやむしろ売りにしているではないかと言えるほど「柔らかさ」を全面に押し出してある意味成功を収めたわけですが、これに追随するように高級食パン専門店が次々生まれ、腰折れをものともしない文化を築いてくれました。

「お陰でケービングしてもクレームにならなくなった・・・」なんて喜んでいる人いませんか。

基本的にこれらのパンには生クリーム、そして蜂蜜などグルテン形成に影響を与えるような材料がたっぷりと使用され、製パン性というよりも個性的な味とか食感にこだわっていることは皆様もご存知でしょう。

多くの焼き立てパン屋さんでもマネッコして高配合の食パン作りましたよね。

なので、あちらでもこちらでも腰折れしたパンを拝見することが多くなり、このまま腰折れパンが認知されてくれればラッキーなのにとお考えの方もいるかもしれませんが、そうはいきませんよ。

やはり食パンの用途としてサンドイッチにしたりしますから、あるていどきちんとした形を維持していただかないことには、クレームは続くことでしょう。

ただ、腰折れが許されるジャンルもありますよね。


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京都祇園のボロニヤさんのパンだったり、洋酒にたっぷり漬かったレーズンなどを入れる場合などは、このようにある程度腰折れしていても、柔らかさとしてのイメージが先行して許されるかもしれませんよね。

しかしやはりシンプルな食パンほど、つまりサンドイッチやトーストとして食べて頂きたい食パンの場合は、これからも腰折れや穴開きはご法度(ごはっと)なわけですね。

ということは、やはり穴開きやケービングの原因をしっかりと理解して、そして一刻も早く解決しないことには売上アップは難しいと言えるのではないでしょうか。


食パンの穴あきやケービングに対する過去記事はこちらからどうぞ






一番初めに戻って、この画像の穴開きは「パン生地そのものには問題がない」と書きました。

何を持って問題がないと言えるのか・・・

それは、パンの断面を見てキラキラ、しっとりしているかどうかなのです。

このキラキラとしっとり濡れたような内層は、発酵状態が良好でないと現れません。

私個人はフジパンの本仕込みが大好きでよく買うのですが、まだ消費期限がたっぷり残っている新しいパンには、このキラキラしっとりが発見できます。

断面と断面をそっと近づけていくと、お互いが求め合うようにフィットしていくあの感じ、そしてそれを剥がそうとしていくと離れたくないような吸着感があり、愛おしくさえなります。

焼き立てパン屋の食パンはもっと強烈にこの感覚を感じることができるはずですが皆様のパンはいかがでしょうか。

そんな最良の生地状態であったとしても、ホイロの温度や発酵の加減、出し入れの際の衝撃、焼成温度やオーブン内の並べ方などによっても穴が空くことがあります。

また、成形時に生地が乾燥した、あるいは手粉の使いすぎ、あるいはホイロ内の位置、あるいは離型油の塗りすぎ、そして特に一番多いのが生地の温度と部屋の温度が違う時にこの現象は現れます。

一般的に穴開きは夏場に多く、ケービングは冬場に多く現れます。

ということは、穴開きの原因は過発酵の場合が多いと言えますし、ケービングはいわゆる発酵不十分なときに起こると考えられます。

がしかし、通常の製パンでもその原因はお店の数だけ、そして配合や設備の数だけ存在します。

ましてや今では低温発酵にしたりドウコン対応にしたりと、温度の幅はかなり広がっているはずです。

結局は「どのような配合で」「どのような製法で」「どのような設備で」作ったかによってその原因は全く違っており、一つとして同じ状況はなかったというのが私自身の体験です。

ただ言えるのは、「正しい配合で」「正しいミキシングで」「正しい生地温度で」「適正な室温で」「正しい作業工程で」取り組みさえすれば問題はすぐ解決できるのですが、そうは行かないから皆さん悩むのでしょうね。

正しい配合でというのも意外と守られていない事が多いのですが、何よりもまずほとんどのパン屋さんではミキシングが過多である、つまりコネすぎで生地がダレてしまっているということを見てきました。

なぜオーバーミキシングになってしまうのかはわかりませんが、要するに生地の適正を判断できないのだということがそこでわかります。

大抵の場合「そのように教わったから」ということになるのですが、そもそもその時点で穴あきとか腰折れの問題解決は難しいと言えるでしょう。

パン屋がパン生地の状態を把握できなければ、どんなに知識を入れてもそれがパン生地に反映されることはないでしょう。

もしご自身がパン生地の状態を見極められないことに気がついているのだとしたら、早々にその部分を改善しないことには返って遠回りになるだけだと思います。

「聞くは一時の恥」だと思って、どうかご相談頂きたいと思います。


結論どのお店に伺っても原因はみな違っていました。つまり穴開きも腰折れもパン生地の状態を見極められていないことが最大の原因で、そこを認めて努力する以外に完全解決はありえないでしょう。ただ、一つの問題を解決できるようになれば、後は面白いように理解できていくのが製パンだと私は思います。




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最終更新日 : 2023-09-28

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