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2023-10-24 (Tue)  15:33

フランスパンの内層が細かくなってしまうのはなぜ

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歯が丈夫だったなら、こんなパンでこんなふうに具材をサンドしたものをバクっと噛み締めてみたいものです。

しかし今そんなことをしようものなら、差し歯が吹っ飛ぶことでしょう・・・誠に悲しい現実です。

ところで、食パンには穴が空いていては困るのに、フランスパンには適度な穴がないと「らしくない・・・」という印象になってしまうのはなぜなのでしょうかね。

別に穴なんてなくても、きめ細かくても、美味しければそれで良いと私は思うのですが、世間はそうは思わないようです・・・

このカテゴリではフランスパンのクープについてや、穴が開く原理などを書いてきましたが、技術的には何をどうして、そして具体的にはどうすればきちんと穴が?空くのかがわからないというご相談もございました。

別記事でも説明していることではありますが、今回は更に具体的にフランスパンの穴に迫っていきたいと思います。

過去記事はこちらからどうぞ




さて、そもそもフランスパンに穴が空かない?ってどういうことなの・・・と感じている人にはあまり意味のない内容になってしまうかもしれませんが、要するに不規則に穴があるのが良いフランスパンで、それこそがフランスパンというものなんだとお考えの人にとっては、穴の空き方はとても重要なことになるでしょうね。

そこを目指して作っているのに、何故かきめ細かい内層になってしまうのだとしたら、それは狙い通りではないという意味においては悔しいことですよね。

では、毎日普通に作っていても穴は不規則に空いているし、何も気にならない・・・という人に対して、うちのフランスパンはきめ細かくて専門的ではない、本格的でもないという人の作り方というのは一体何が違うというのでしょうか・・・

より具体的に考えていきましょう。


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まずは一般的に一番多いのがこんな感じの内層だと思うのですが、こうならずにもっと細かい内層にしかならないのだとしたら、一体原因はどこにあるのかを考えてみましょう。

まず使用する小麦粉なのですが、ごく一般的なフランスパン専用粉というものをお使いの場合には、あまりこのことで悩むことはないかもしれません。

強力粉と薄力粉のブレンドで作っている方、あるいは国産の強力粉や中力粉で作っている方というのは、不規則な穴ができにくいことは確かでしょう。

特にフランスパン専用粉というのは、ある程度しっかり捏ねたり、特別に成形などに気を使わなくても、それなりにオーブン内でよく伸び、それでいてクリスピーに歯切れのよいパンに仕上がるように設計されています。

他方国産小麦がいくら力が弱いからといって、それがそのまま中力粉として使える、フランスパンに向いているということにはならないのです。

どういうことかと言いますと、要するに食パンのようにある程度きめ細かく仕上がってしまうのが強力粉というものなのです。

フランスパン専用粉というのは確かに中力粉として分類されてはいますが、それはただ単に強力粉よりも力が弱いという意味ではなく、フランスパンにしたときに焼成中に適度な穴が空くように配合されている専用の粉だということなのです。

ですから、国産小麦だとしても中力粉を使えばフランスパンが作れるということではなく、あくまであの不規則な穴というのは専用粉ならではのものなのです。

では国産小麦の中力粉では不規則な穴を作ることは出来ないのかといえばそうではありません。

あくまで出来にくい・・・というか、そもそも穴を作る為の粉ではなく、むしろきめ細かくなるための粉であるということなのです。

ですので、ややミキシングや配合や製法に工夫を加えないと不規則な穴にはならない、なりにくいのだということなのです。

その点を理解していただいた上で、次に進みましょう。


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こちらの画像のパンは見ての通りスケッパでカットしただけの成形になっています。

つまり、生地にあまり負担をかけずに焼成した場合には、このような内層が完成やすくなります。

ということは、ミキシングにおいてもあまり捏ねないほうが不規則な穴になりやすいということはお解りいただけると思います。

さらに、分割丸めの際に生地をしっかり丸めたり、生地をいじりすぎてもダメですし、成形の際にも同じように生地に負担をかけないことが重要で、それはもう食パンの成形とは真逆で、キメ細かくならないように工夫する必要があるわけですね。

しかし、出来ているかどうかは別として、概ねその程度の気の使い方は誰でもされているのではないでしょうか。

そこで、今回特にお伝えしておきたいコツというのはこちらになります。

それは、生地の捏ね上げ温度は23℃を超えないようにするということです。

基本中の基本でありながら、意外と温度を高くしている方が多いのです。

「お店に早く並べたいから」という気持ちがそうさせてしまうのかもしれませんが、絶対にNGなのが生地の捏ね上げ温度なのです。

フランスパンを生イーストで作っている方というのはほとんどいいないと思いますが、インスタントイーストというのは24℃を越えたあたりからグングン発酵力が増していきます。

そうなりますと、分割でも成形でも内部摩擦がすすみ、もちろん発酵中も摩擦が加速していきます。

それがミキシングを長くしたのと同じ効果を生み出し、どんどんキメの細かいパンへといざなうことになるのです。

室温が低い冬になると、特に生地の温度を上げようとしがちですが、注意が必要です。

また、このことはイーストの量が多い場合にはより顕著に現れます。

冬にイーストの量を多くしているという方は特に要注意となります。


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さて、こちらの画像のように、より大きな穴にしたいという場合には、やはりそれなりの工夫が必要になります。

小麦粉もごく普通のフランスパン専用粉では難しく、より灰分の多い専門的な小麦粉を使う、あるいはライ麦粉をブレンドするなど、ごく一般的な配合ではなかなかこのようには行かないでしょう。

ミキシングはかなり少なめでじっくり生地を作り、イーストはかなり少なくして低温で長時間発酵させるなどしないと、このような内層にはなりません。

今回ご紹介したすべての画像を見てお解りのように、特に上火と下火がしっかり入っている事がわかります。

ということは、焼成温度というものもかなり重要であるということはお解りいただけることでしょう。

オーブンの性能は残念ながらかなりまちまちです。

技術的な面と製法などが理解できたとしても、最後にはやはりオーブンの性能というものが鍵を握って来るのがハード系パンです。

残念ながら、いくら今回の画像のようなフランスパンに仕上げたくても、設備が伴わなければ完璧には作ることは出来ません。

ですので、もしどうしてもオーブンの性能にパワー・熱伝導・蓄熱性・スチーム性能などで欠けている部分があるのだとしたら、とりあえずはキメ細かい食パンを作るか、フランスパンの生地でもハードトーストとして型で焼くなどして、画像のようなフランスパンは諦めていただくしかありません。

しかし、日本人というのは本当にしっとりキメ細かいが好きな人種です。


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このようにして食べたいという人が圧倒的多数のはずですから、キメ細かい内層のフランスパンもきっと売れるはずですよ。

ですが、不規則な内層が夢にまで出てくるほど好き・・・という人のために、以下に今回のまとめを書いておきますので、利益が出たら今度は美しいフランスパンが焼けるようなオーブンを是非購入して頂きたいと思います。


原材料と配合1.国産小麦でもフランスパン専用粉を使いましょう。 2.イーストの使用量は極力少なくして、低温発酵などでじっくり生地を作りましょう。 3.発酵種やルヴァンなどを使って、その分イーストは減らしましょう。 4.水は極力多くしましょう。


工程の注意点1.ミキシングは低速のみで。 2.捏ね上げ温度は23℃以下。 3.分割時は丸めないこと。 4.ホイロの温度は30℃以下。 5.焼成は限りなく強火でスチーム多め。


とは言え、設備も原材料も配合も技術もパン屋さんの数だけありますよね。

どうしてもこんなパンが作りたい、だけどどうしても出来ないという方は是非ご相談くださいね。

ご相談はメールフォームよりお願い致します。





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最終更新日 : 2023-10-27

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